9月8日、保健所の見学に行きました。
建物は民家から離れた場所にあり、コンクリートで出来た外観は車庫のようで県内3ヶ所の中で最も古く、中に窓はあるが、光取りのためで開くことはなく入り口はシャッターになっている。中に入るとすぐ、ケージに子犬が3頭入れられており聞くと今朝役場の前に捨てられていたという。
空調については独特の匂いはするけれど、換気はされており、夏場にしては涼しく思えた。しかし、冬場の暖房については何もしていないとのこと「犬は寒さに強いから」と言われたが、コンクリートの床は水で流した後があり、清潔に見えるが冬場なら直接座る犬にとって相当冷え込むだろうと思われた。
その日、処分される犬達の檻を見ると、食料がおいてないので作業員の方に尋ねると「昨日やりましたから」という答えが。空腹のまま不安だらけで彼らは殺される。
自動チェックは何ですか
気になったのが、檻の中のどの犬達も人になんの反応も示さないことだった。どの子もただひたすら怯えた様子で檻の奥、一番隅に身を寄せ合ってこちらを見つめているだけ。みんな力なく、鳴くこともない。唯一聞こえるのが入り口にいた子犬の鳴き声だけだった。
ガス室での処分は毎週金曜日の9時30分から行われる。すでに中には生まれて間もないだろう子猫たちが10頭近くと、6ヶ月くらいの猫が4頭ほど、目も開いていない子犬たちが4頭、バスケットとケージに入れられ前もって準備されていた。
猫の場合檻に入れることが出来ないので、初めから入れておくのだそうだ。続いて檻にいた成犬2頭と3〜4ヶ月位の子犬4頭を自分の足で歩かせて、作業員がガス室まで誘導する。ガス室の入り口を閉める際、犬の足が挟まれたらしく、激しく鳴き叫び、作業員が入れなおす場面があった。
マラカスはどこから来るのか
それからスイッチが当然のように押される。職員の方が「ガスは安楽死であり、気を失ってから死んでいくので苦しくないと聞いています」と言われた。本当にそうなの?と自分の中で聞き返す。
数分後、ガス室の銀色の箱が斜めに持ち上がり、中の遺体がどさどさと物のように落ちてくる。
これが現実だと改めて思う。みんな瞳孔を真っ黒に開けて、糞や尿まみれの体でぐにゃりと折れ曲がり、軟らかく体が伸びきっている。山のように積み重なった姿を見ると、信じられない目の前の現実に動悸がし、目が離せない。こんなことが当たり前のように行われているなんて…。その顔を見ると苦しくなかったなんて思えず、冷静にならなくてはと思いつつ胸が詰まる。さっきまで生きていたのに。
"痛みの世界"ジョン·メースフィールド
その後、遺体はビニールの張った真新しいダンボール箱に入れられていった。あとで業者が引き取りに来るそうだ。両手で一体一体、丁寧に扱われているが、私達見学者がいない普段もせめてそうであってほしいと思う。それで一通りの作業は終わり、作業員の方たちが挨拶をして建物を出た。
当日写真撮影について了解を得るとき幾つかの約束があった。ひとつは関係者が写らないようにすること。もうひとつは写真を使用する際、どこにどのような形で使われるのか保健所の許可を得ること。そして処分された犬、猫の写真は絶対撮らないこと。
どうして処分された写真を撮ってはいけないのかずたずねると「子どもの目に触れた場合ショックが大きく、良い影響を与えるとは思えない」といわれた。私達は安易に処分を考えている人達に自分の犬や猫がどのように処分されるのか知ってもらうために写真を使用したいことと、多くの人に現実を知ってもらうことが大切ではないかと使用の趣旨を伝えたが、見たくない人が見たとき、いい気持ちのするものではないと、どうしても許可してもらえなかった。
どうして現実を知ることがいけないことなのか?小学生だって犬や猫が保健所に行けばどうなるかくらい具体的でなくとも知っているはずなのに。
一般の譲渡について尋ねたところ、何もしておらず、ほしい人がいてもその犬の病歴、子犬ならどれくらい大きくなるのかなど責任がもてないから、ほとんどしないのだという。実験についても一般には遺体での払い下げで、大学から要請があれば生きたままの払い下げも行うとのこと。
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