2012年6月10日日曜日
2012年6月3日日曜日
哲学書簡 ヴォルテールとクエーカー教徒 | RE+nessance
楓のマントノン夫人の記事で、キエティスム(クワイエティズム)事件を起こしたということを知り、ヴォルテールのクエーカー教徒を思い出した。
なるほど、マントノン夫人は質素で倹約な宮廷生活と唱えていた。
「哲学書簡」(Lettres philosophiques ou Lettres anglaises)
アムステルダム出版の口絵部分
僕の好奇心をそそるマントノン夫人。
*1 これ以上に貴賓があり、人の心をとらえてはなさない物腰に出会ったことがない。
マントノン夫人に深くお辞儀をした。
*2 「私は、自分の至極もっともな好奇心があなたの気分を害するとこはないと、またあなたの生活についてくわしくお教えいただけるものと信じております。」
こうして私はマントノン夫人に尋ねはじめた。
「ほかの人たちと少々違った服をお召しのようですが。」
*3 「これは、彼らと同じになってしまわないよう、自分を戒めることにやっていることなのです。彼らは装飾の浪費、新しい流行の迎合、華美を求める虚栄と優越の標章をつけますが、わたしたちはキリスト教の謙虚の標章をつけているのです。」
私は尋ねた。
「以前の宮殿に比べ様子が違うようですが。」
*4「わたしたちは娯楽の集まり、見世物、賭け事を避けます。そのわけは神がお住まいになるべき心をこれらの取るに足らないことで埋め尽くすとあっては、あまりに自分があわれだからです。わたしたちは決して神に誓うことはしません。法廷においてさえそうです。」
私は尋ねた。
「モンテスパン侯爵夫人との確執はないのですか。」
*5「いと高き神の御名が人間のくだらない言い争いで汚されてはならないというのが、わたしたちの考えです。」
なるほど、マントノン夫人は無地の暗いドレスを身につけ、髪はシニヨンでまとめているだけだ。信仰の厳しさが彼女を報復の感情を払い、ルイ14世は彼女を確固不動の人と呼び、彼女の寛大さに敬服し、宮廷の華やかさが失ったのは国王の放蕩や浪費がおさまり、落ち着いた暮らしぶりになったのだ。
「マントノン夫人、私は誤解をしていた。
国王がサンシールの乙女たちと呼んだ学院は、
あなたが性行為を避ける手段としての
王の愛欲を満たす女性の訓練学校ではなかったのですね。
そしてナントの勅令の廃止で虐殺された数万人は
あなたの寛大さによって、サン・バルテルミーの虐殺より
わずかなものとなったのですね。」
最後に尋ねた。
「あなたの宗教は、」
僕はそこで夢から覚めてしまった。
なんとマントノン夫人は、ヴォルテールが対話したクエーカー教徒のアンドルー・ピットと同じ言葉を僕に伝えたのだ。
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